マー君の独り舞台

2014年06月02日 03:19

 最近、MLBにはまっている。BSテレビで見ると、その玉音の大きさに驚いた。投手の投げるファストボールの風を切る唸るような音が聞こえて、キャッチャーミットに収まるブスッという音が、たまらない。日本のプロ野球では、応援の音がうるさくてまったく聞こえないから、その臨場感を味わえる玉音は心地よく響くとともに、投手が投げる玉の威力を聴覚でとらえられるのは、なんともうれしい限りである。

 そんな中で、ヤンキースに移籍した田中将大投手が、8勝を挙げてヤンキースの成績に大きく貢献している。あちらでは新人ながら、日本では24勝無敗の成績を上げたのだから、予想はできたのではあるが、それ以上の活躍に、ニューヨークの報道も過熱気味である。連勝記録が32連勝まで伸びたときは、いつ負けるのかと、その試合を見逃してはいけないとの新聞記事が出ていた。

 雷が鳴り、降雨の中での7勝目をかけたシカゴ・カブスとの試合で、濡れる右手のコントロールに苦しみ、惜しくも負けてしまったが、次のシカゴ・ホワイトソックス戦では、見事に勝利を手にした。その、マウンドでの戦う姿勢を見ていると、孤高感を感じるのは、私だけだろうか。彼は、必死に高いマウンドに立ち、女房役のキャッチャーめがけて、ボールを投げる。8勝目を挙げたミネソタ・ツインズ戦では、投げた後、バックスクリーンを向いて、自分に気合を入れるように雄たけびを上げるシーンも見られた。

 ヤンキースにはイチロー選手や黒田投手もいて、今年はとても楽しみな活躍を見せている。メジャーリーグの野球は日本の野球よりも大味だが、パワフルで遠い球場が近くに感じられる、親しみやすさを持っている。家族や恋人、友達などと野球を楽しみに来ている娯楽性が強く感じられる。投手の投げる一球に、バッターの一振りに、野手のボールを追いかける動きに、その都度大きく歓声が沸き、ため息が漏れる、そんな球場の雰囲気がひしひしと伝わってくるのである。

 その感覚は、巨人を応援していた、いや、王、長嶋の一振りを期待して、テレビ中継を見ていた幼いころを彷彿とさせてくれる。のめりこむほどのファンではなく、ただ強いものに憧れて、V9時代の巨人のプロ野球をテレビで観戦し、延長した場合はラジオで聞いていた、あの頃の思い出が蘇ってくる。日本の野球も完全にグローバルに認められる時代になっている。これからの田中投手の活躍がとても楽しみである。たぶん、快投伝説を作るだろう。いや、もう、作っているのかもしれない。